special

和風庭の魅力とは?造るポイントからリフォーム方法まで

はじめに

日本の伝統的な美意識を体現する「和風庭」は、四季折々の風情を楽しめる空間として多くの人々に愛されています。
静かにたたずむ庭石や風にそよぐ竹、苔むした飛石など、自然と調和した景観は、忙しい日常の中で心を落ち着かせる特別なひとときを感じることができます。

しかし、和風庭と一口にいっても、その種類やデザインは多種多様です。
庭を新しく造る際やリフォームをする場合には、どのようなスタイルがあり、どのような要素を取り入れるべきなのかを知ることが重要です。

そこで本記事では、和風庭の魅力や種類、基本的な構成要素を解説します。
また、庭を美しく保つためのポイントやリフォームの方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

福田造園の簡単な歴史

1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。

写真:福田造園

和風庭の魅力とは?

和風庭は、日本の自然や四季を巧みに取り入れた庭園スタイルです。
歴史と伝統に裏打ちされたそのデザインは、見る人の心を落ち着かせ、穏やかな時間を与えることができます。

また、季節の移ろいを感じられる植栽や、シンプルながら奥深い美しさを持つ構成要素が特徴といえるでしょう。
そこでここからは、和風庭が持つ魅力を歴史やデザインの観点から詳しく解説します。

歴史と伝統がある

和風庭の歴史は、飛鳥時代から奈良時代に造られた庭園に始まり、その後、武家屋敷や寺院などで発展してきました。
特に禅の精神が反映された「枯山水」や、茶道とともに発展した「露地」など、時代ごとに異なるスタイルが生まれました。

日本の庭園文化は、自然を尊重し、限られた空間の中で風景を象徴的に表現する特徴を持ちます。
また、石組みや苔庭、池泉など、長年受け継がれてきた技法が使われており、現代でも多くの人に親しまれています。

歴史の流れを感じながら日本の美意識を体現した和風庭は、単なる庭ではなく文化遺産ともいえる存在です。

四季を感じられる

和風庭の最大の魅力の一つは、季節の移ろいを楽しめることです。例えば、春には桜やツツジが彩りを添え、夏は涼しげな青もみじや竹が風に揺れ、秋には紅葉が庭を鮮やかに染め、冬は雪が積もり静寂な美しさを演出することができます。

また、苔や常緑樹を取り入れることで、冬でも緑を感じられる工夫がなされています。
こうした植栽の選び方や配置により、季節ごとに異なる表情を見せるのが、和風庭の魅力といえるでしょう。

心地よさがある

和風庭は視覚的な美しさだけでなく、そこにいる人が心から落ち着ける空間を生み出すことができます。
例えば、庭の中に飛石を配置することで、自然と調和した雰囲気を演出できます。

また、水のせせらぎや風が竹を揺らす音が、静けさの中に心地よいアクセントを加えます。
そのほかにも、縁側や茶室といった屋内からの眺めを意識した設計を加えることで、庭を楽しむ時間がより特別なものになるでしょう。

このように、和風庭には細やかな配慮が随所にあるため、日々の生活に癒しと安らぎをもたらしてくれるわけです。

シンプルで深いデザイン

和風庭は一見するとシンプルな構成ですが、その中に奥深い美しさがあります。
例えば、立地条件によっては「借景」を利用して遠くの山や木々を庭の一部のように見せる工夫もできるほか、石や砂で水の流れを象徴する「枯山水」など、限られた空間を生かす知恵が凝縮されています。

また、「間」や「余白」を大切にすることで、すべてを埋め尽くさずに自然のリズムを取り入れるのも和風庭の特徴です。
装飾を最小限にしながらも、計算された配置や陰影の効果により、洗練された美しさを生み出すことができます。
このように、無駄のないシンプルなデザインの中に、深い哲学が息づいているのが和風庭の魅力といえるでしょう。

和風庭の種類

一口に和風庭といっても、その種類は多岐にわたります。
起伏を生かした「築山式」、平坦な敷地を活用する「平庭式」、水を使わずに風景を表現する「枯山水式」、限られたスペースを生かした「坪庭」など、それぞれに異なる特徴があります。

そこでここからは、代表的な和風庭の種類について、その特徴や魅力を詳しくご紹介します。

築山式

築山式庭園は、庭の中に人工的な小高い丘(築山)を造り、自然の地形を再現する庭のスタイルです。
日本庭園の中でも伝統的な形式の一つで、池の流れと組み合わせることで限られた空間でも立体的な景観をつくり出すことができます。

ただし、基本的に大規模な庭園に適しているスタイルで、回遊しながら風景を楽しむ設計が施されることが多いのが特徴です。
なお、一般的な住宅でも随所に築山を配置することでも、遠近感や奥行きを演出することができます。

平庭式

平庭式は、築山を設けずに平坦な地形を生かした庭のスタイルです。
主に住宅の庭や都市部の狭い敷地に適しており、シンプルで管理しやすい点が特徴です。
そのため、苔や砂利を敷き詰めることで落ち着いた雰囲気を演出しながらも、飛石や植栽を巧みに配置することで、単調にならない工夫をする必要があります。

なお、平坦でシンプルな形状ではあるものの、低木によって立体感を生み出すこともできます。
限られたスペースでも和の情緒を感じられるため、現代の住宅庭にも取り入れやすい形式といえるでしょう。

枯山水式

枯山水式は、水を一切使わずに、石や砂を用いて自然の風景を象徴的に表現する庭園様式です。
主に禅寺の庭として発展し、精神性の高い空間を生み出す目的でつくられたスタイルになります。

砂の波紋を水の流れに見立てたり、配置された石を山や滝に見立てたりと、抽象的な表現が特徴です。
また、余白を生かしたデザインが重要で、見る人の想像力によって多様な解釈が生まれるのも枯山水式の魅力といえます。

坪庭

坪庭は、狭いスペースに設けられた小さな庭で、都市部の住宅や町家にも見られる形式の和風庭です。
建物の間や玄関先など、限られた敷地を有効活用し、シンプルながらも和の趣を演出するのが特徴です。

主に砂利や石、苔、竹などを組み合わせることで、自然の雰囲気を凝縮した和の空間をつくることができます。
一方、坪庭は少ない要素で美しさを表現するスタイルのため、デザインの創造力が求められる側面もあります。

和風庭を構成する基本的な要素

和風庭を形作る上で欠かせないのが、石・水・植栽といった基本的な要素です。飛石や庭石は庭の骨格をつくり、水の流れは静寂の中に動きを与え、植栽は季節の変化を演出することができます。

これらの要素を適切に配置することで、洗練された和風庭が完成します。
そこでここからは、和風庭を構成するそれぞれの要素の役割や、配置のポイントについて解説します。

石(庭石・飛石)

石は和風庭の骨格を形成する重要な要素の一つです。
例えば、庭石は景観を引き締める「景石」など、配置の方法によってさまざまな景色を演出させることができます。
特に枯山水では、石を山や滝に見立てて配置し、自然の風景を象徴的に表現するのが特徴です。

また、飛石は庭を歩くために配置される石で、歩行のリズムや視線の誘導を考慮しながら並べることが重要です。
この飛石の間隔や形状は、訪れる人が自然な動作で歩けるように調整することで、機能性と美しさを兼ね備えた庭に仕上げることができます。

水(池・滝・手水鉢)

水の要素は、和風庭に動きや潤いを与える役割があります。
例えば、池は日本庭園の中で重要な要素の一つであり、水面に映る景色が庭の雰囲気を一層引き立てます。
また、滝を取り入れることで水の流れを演出し、涼しげな印象を与えることもできます。

一方、小規模な庭では、手水鉢(ちょうずばち)などを設置することで、限られた空間の中に水の趣を持たせることができます。
この手水鉢は主に茶庭で用いられており、訪れる人が手を清めるための役割も果たしています。

植栽(松・モミジ・苔)

植栽は、四季の変化を感じさせ、庭に彩りを与える大切な要素です。
例えば、松は常緑樹として一年中青々とした姿を保つので、庭に力強い印象を与えることができます。
また、モミジは春や夏には青々とした葉を茂らせ、秋には鮮やかな紅葉を楽しむことができます。

そのほかにも、苔は湿度を保ちつつ庭全体に落ち着いた雰囲気をもたらしてくれるので、茶庭などにも多く用いられています。
このように、植栽の配置や種類を工夫することで、庭の表情に変化をつけて、より豊かな景観をつくり出すことができます。

和風庭を造る際のポイント

和風庭を美しく整えるためには、建物との調和や適切な素材選びが欠かせません。
例えば、現代住宅にもなじむデザインにするためには、シンプルな構成を意識したり、庭木や石の配置を工夫したりすることが重要です。

また、和の雰囲気を高めるために、置物や竹垣を活用する方法もあります。
そこでここからは、和風庭を造る際の具体的なポイントについて解説します。

建物の雰囲気と調和させる

和風庭を美しく仕上げるためには、庭だけでなく建物との調和を意識することが重要です。
例えば、古い住宅なら木や漆喰、瓦などの自然素材も多く使われるため、庭の石や植栽、砂利の色調をそろえることで一体感を生み出せます。

また、縁側や障子、格子窓などから庭を眺めることを考慮し、視線の先に美しい景観をつくることもポイントです。
なお、現代住宅に和風庭を取り入れる場合も、シンプルなデザインや落ち着いた色合いの素材を選ぶことで、違和感なく調和させることができます。

置物や庭木を活用する

庭に風情を加えるためには、石灯籠や手水鉢、竹垣などの置物を適切に配置することが効果的です。
石灯籠は、夜間に照明をともすことで幻想的な雰囲気を演出し、手水鉢は水の要素を手軽に取り入れることができます。
庭木の選び方も重要で、松やモミジ、シダレザクラなどを植えることで、季節の変化を楽しめる庭になります。

また、庭の広さに応じて低木や苔を組み合わせることで、奥行きや趣を演出することが可能です。
こうした工夫により、庭に自然の表情と個性ある雰囲気を持たせることができます。

和風庭をリフォームする場合の対処方法

既存の和風庭をより魅力的にするためには、リフォームによる改善が効果的です。
例えば、石や植栽の配置を変えるだけでも庭の印象は大きく変わります。
また、管理の手間を減らすためには、苔の代わりに砂利を敷いたり、池を枯山水風にアレンジしたりするのも一つの方法です。

そこでここからは、和風庭をリフォームする際の具体的なアイデアや注意点についてご紹介します。

配置を変更する

和風庭の印象を変える方法の一つが、石や植栽、水の要素の配置を見直すことです。
例えば、飛石や庭石の位置を調整することで、庭に奥行きや動線の変化を持たせられます。
また、植栽の配置を変えることで、四季の移り変わりをより感じられるようにすることもできます。

庭のバランスを考えながら既存の要素を生かした再配置を行うことで、新たな雰囲気をつくり出せます。
限られたスペースでも、配置の工夫次第で印象を大きく変えることができるのが和風庭の特徴です。

不要なものは処分する

庭が雑然として見える場合、不要なものを整理することも効果的です。
例えば、伸びすぎた庭木を剪定したり、管理が難しくなった植栽を撤去したりすることで、庭の印象がすっきりとします。

また、風化した石灯籠や使われていない手水鉢などが庭の雰囲気を損なっている場合は、それらを処分することでスッキリとした印象に変えることができます。
このように、無駄な要素を減らしてシンプルな構成にすることで、より洗練された和風庭へと生まれ変わらせることができます。

別の方法で仕上げる

庭の維持管理が難しくなった場合や、手入れを簡単にしたい場合は、別の方法で仕上げるのも選択肢の一つです。
例えば、苔の代わりに砂利を敷くことで、メンテナンスの手間を減らすことができます。

また、人工芝やウッドデッキ、タイル、インターロッキングなど、まったく新しい要素を取り入れるのもよいでしょう。
庭の機能性と美しさを両立させるためにも、自分のライフスタイルに合った形にアレンジすることが大切です。

おわりに

和風庭は日本の伝統と美意識が詰まった空間であり、四季の変化や自然の要素を感じられるのが魅力です。
庭を構成する要素や造る際のポイントを押さえつつ、調和の取れたデザインを意識することで理想の和風庭を実現できます。

日々のお手入れや維持の方法を考えながら、自分に合った和風庭を造り、心安らぐ空間を楽しみましょう。

福田造園は
下記のエリアに対応しています
※エリアページ随時追加中