はじめに
カーポートの設置を検討している方のなかには、固定資産税が別途発生するのかどうか知りたい方が多いのではないでしょうか。固定資産税が課税対象かどうかを確認しておくことで、カーポートを設置するかどうかも、正しく判断することができるでしょう。
そこで本記事では、カーポートに固定資産税はかかるのか、徹底解説します。カーポートや固定資産税の基礎知識から、設置をする際に注意しておきたいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
福田造園の簡単な歴史
1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。
カーポートとは
敷地内に駐車するスペースには、カーポートやガレージなど、さまざまな形態があります。同じ駐車スペースでも構造が大きく違うため、駐車エリアを作る際には、どちらが適しているか判断することが重要です。
そこでここからは、そもそもカーポートとはどのような構造をしているのか、また、ガレージとの違いは具体的に何なのかについて解説します。
カーポートの構造
カーポートとは、屋根と柱だけで構成されている商品です。壁のないシンプルな構造をしているため、圧迫感もなく開放的な特徴があるほか、比較的簡単に設置できるメリットもあります。
一般的に、アルミの支柱とポリカーボネート製の屋根が採用されている商品が多いです。ただし、メーカーや商品の種類によっては、スチール製の折板屋根など、丈夫で耐風圧・耐積雪性能に優れた商品も存在します。
ガレージとの違い
ガレージとは、周囲を壁と屋根で囲われている駐車スペースのことです。なお、前面部分は車の出入りを行うため、シャッターが設置されているケースが多い傾向にあります。
ガレージ内に車を駐車すれば、雨風を完全に防げるほか、防犯性も高いので車の盗難被害も防げるメリットがあります。一方で、カーポートよりも丈夫な造りで施工するため、工事費用が高額になってしまうデメリットがあります。
固定資産税とは
土地や建物などの不動産を所有している方は、毎年春頃に、固定資産税を納めなければなりません。一方で、具体的な固定資産税の計算方法などが分からない、という方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、固定資産税の基礎知識や計算方法、評価について解説します。
固定資産税の基礎知識
固定資産税とは、所有している固定資産に対して課税される地方税になります。この固定資産には、以下のような種類があります。
土地:田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋:住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産:会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)
※参考:総務省「固定資産税」
なお、固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産を所有している方が納付対象となります。
固定資産税の計算方法
固定資産税の税額というのは、土地や家屋、償却資産の価値(評価額)をもとに算出します。具体的には、以下のような計算方法になります。
【 固定資産税の税額 = 固定資産の評価額(課税標準額)× 標準税率(1.4%) 】
なお、原則として標準税率の1.4%が適用されますが、各自治体は必要に応じて、標準税率とは異なる税率を条例で定めることができます。そのため、詳しい税率については、お住まいの自治体で確認しましょう。
固定資産の評価について
固定資産における評価は、総務大臣が定めた固定資産評価基準をもとに各自治体が評価・算出を行います。固定資産の評価額は、その時における時価で変わるため、評価の見直しは3年毎に行われています。
なお、各固定資産の評価方法は以下のとおりです。
土地:宅地や農地の地目別に売買実例価格などを基礎として評価額を計算
家屋:再建築価格に経年減点補正率などに乗じて評価額を計算
償却資産:取得後の経過した年数に応じた価値の減少を考慮して評価額を計算
※参考:総務省「固定資産税」
カーポートに固定資産税はかかるのか
土地や家屋、償却資産などの固定資産に対して課税される地方税が、固定資産税になります。では、カーポートはどのような扱いになるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、カーポートには固定資産税がかかるのか、また、課税対象になるケースとは何かについて詳しく解説します。
原則は課税対象外
カーポートを設置した場合の固定資産税の取り扱いについてですが、原則的にカーポートは課税対象外になります。
固定資産税は家屋を課税対象としていますが、カーポートの場合は、柱と屋根だけで構成される簡易的な駐車スペースだからです。
そのため、固定資産税における家屋に、原則カーポートは含まれません。
ただし、同じ車庫のなかでも課税対象となるケースは存在するため、どのような場合は固定資産税がかかるのか、チェックしておきましょう。
課税対象となる要件
原則として、課税対象外となるカーポートですが、一定の要件を満たすことで課税対象となる可能性があります。なお、以下のような要件を満たすと、固定資産税における課税対象の「家屋」としてみなされます。
・外気分断性
雨風などから人を保護することができるのか、また、その能力を備えているのかどうかを判断するための要件です。主に屋根があり、三方が壁に囲まれている場合に、この外気分断性が備えられていると判断されます。
・土地定着性
建物が土地と固着しているかどうかを判断する要件です。一般的には、基礎工事などが行われており、物理的に結合されているような場合に、土地定着性があると判断される傾向にあります。
・用途性
居住、作業、貯蔵など家屋本来の目的を有しており、その目的に応じて利用ができる状態になっているかどうかを判断する要件です。
課税対象になるケース
家屋としての要件を満たすことで、固定資産税は課税されることになります。では、具体的にどのような場合に課税対象となるのでしょうか。事例をもとに確認してみましょう。
・独立ガレージ
家の外に作ったガレージのこと。
・ビルドインガレージ
家と一体化しているガレージのこと。
・ガレージハウス
建物1階部分にガレージを組み込んだタイプの住まいのこと。
・ガレージタイプのカーポート
側面がパネルなどで三面覆われているカーポートのこと。
いずれも、基礎工事が必要なほか、周囲を壁に覆われている車庫になるので、固定資産税における家屋に該当します。そのため、固定資産税の課税対象となるので注意しましょう。
固定資産税以外にも、カーポートで注意すべきポイント
固定資産税は課税対象外となるカーポートですが、以下のような点には注意しましょう。
●建築確認申請
●隣地境界線
●セットバック道路
このように、カーポートにはさまざまな制限があるので、設置前に問題がないか確認しておく必要があります。設置後にトラブルを起こさないためにも、注意すべきポイントをチェックしておきましょう。
建築確認申請
カーポートを設置する際には、基本的に建築確認申請を行う必要があります。建築確認申請とは、建築基準法によって一定の面積以上の建築物(カーポートを含む)を設置する際に行う手続きです。
なお、確認申請は10㎡以上の建築物に限られるため、10㎡未満のカーポートを設置する際には確認申請をする必要はありません。ただし、お住まいの地域が防火地域、または準防火地域の場合については、10㎡未満であっても建築確認申請は必要になるので注意してください。
隣地境界線
建築基準法において建築物に該当するカーポートは、設置に際して隣地境界線の規定を守らなければなりません。隣地境界線とは、隣の土地との境界を示すもので、民法234条では、建築物と隣地境界線の距離は50cm以上離さなければないとされています。
そのため、建築物に分類されるカーポートを新たに設置する際には、この隣地境界線を基準に、50㎝以上離れた場所に設置をしなければならないということです。ご自身の敷地だからといって、どこにでも建てられるわけではないということを理解しておきましょう。
セットバック道路
セットバック道路とは、建築基準法42条2項における「みなし道路」に関連するルールが適用されている道路です。この法律では、道路の中心線から外側に対して、それぞれ水平距離2mの位置を道路境界線とみなすとされています。
道路境界線まで後退しなければならないため、道路後退(セットバック)とも呼ばれています。このセットバックした道路境界線までは建物が建てられないため、建築物に該当するカーポートも同様の規制を受けるわけです。
例えば、既存の道路幅が3mしかない場合、法律では4mまで道路幅を確保しなければならないため、両サイドが50㎝ずつセットバックすることになります。これは、緊急車両などが通れるように道路幅を確保するための法律です。よって、違反すると罰則を受ける可能性もあるため注意してください。
カーポートの設置時には建ぺい率にも注意しよう
カーポートは、建築基準法における建ぺい率の規制を遵守して設置しなければなりません。建ぺい率を超えてしまうと、違反状態になるので、設置後のトラブルを避けるために建ぺい率には注意しましょう。
そこでここからは、カーポートを建てる際に注意すべき、建ぺい率の基礎知識を解説します。
建ぺい率とは
建ぺい率とは、所有している土地面積(敷地面積)に対してどれくらいの建築面積があるのか、その割合を規制する指標になります。なぜ、建ぺい率で建築できる建物に規制を設けているかというと、一定の余裕があることで、採光性や通風性を確保しつつ、火災が起きた際に延焼しにくくするという防火上の観点・目的があるわけです。
なお、建ぺい率は以下の計算式で簡単に算出することができます。
【 建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100 】
例えば、建築面積が50㎡で、敷地面積が100㎡だった場合の建ぺい率は、50%になります。そのため、お住まいの地域における建ぺい率が60%まで認められている場合、60㎡までは建築できるということです。
カーポートと建ぺい率の関係性
前項でも解説したとおり、建ぺい率とは、土地面積と建築面積の割合を規制する指標です。ここでいう建築面積というのは、建築基準法における「建築物」に該当するものになります。
建築基準法上の「建築物」とは、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)」と定義されており、カーポートもこの建築物に含まれるわけです。
そのため、カーポートについても建物本体と同様に、この建ぺい率の規制を遵守する必要があります。なお、建ぺい率に違反した場合、違法建築物とみなされてしまい、売却時にローンが通らないなど、さまざまな弊害が生じてしまうので注意しましょう。
緩和条件について
カーポートを設置する場合にも、建ぺい率は関係しますが、実は緩和の特例が認められる場合があります。次に当たる条件を満たす場合は「国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造」に該当して要件を緩和することができます。
● 外壁を有しない部分が連続して4m以上であること
● 柱の間隔が2m以上であること
● 天井の高さが2.1m以上であること
● 地階を除く階数が1であること
通常のカーポートであれば、この要件を満たすことが多いため、カーポートの一部を建ぺい率に含まなくて済むようになります。具体的には、端から1m後退した部分の設置面積を、建ぺい率の算出面積とすることができます。
まとめ
固定資産を所有している方に対して課税される固定資産税ですが、原則として、カーポートは課税の対象外となります。ただし、課税の対象となる要件を満たしている場合、固定資産税が発生する可能性もあるため注意しましょう。
具体的には、ガレージタイプのカーポートやビルトインガレージなど、壁面で覆われているタイプの車庫が課税対象になります。固定資産税の課税対象を避けるためには、柱や屋根だけで構成されている簡易的なカーポートを採用しましょう。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
カーポートでお困りの際は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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