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建ぺい率や容積率とは?知っておきたい建築の基礎知識

はじめに

所有する敷地内に建物を建築する際には、建ぺい率や容積率といった建築制限を守らなければなりません。しかし、一度は聞いたことがある方でも、具体的にどのような建築制限なのか分からないというケースは多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、建物を建築する際に知っておくべき制限の「建ぺい率」と「容積率」の基礎知識を徹底解説します。その他にもある建築制限の種類についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

福田造園の簡単な歴史

1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。

写真:福田造園

建ぺい率や容積率とは?基礎知識を学ぼう

建物を建築する際の代表的な建築制限といえば、「建ぺい率」と「容積率」になります。土地活用や増築、エクステリアリフォームにおいても関連してくるため、どのような建築制限なのか確認しておきましょう。

そこでここからは、そもそも建ぺい率や容積率とはどのような制限なのか?押さえておきたい基礎知識を徹底解説します。

建ぺい率とは

代表的な建築制限である「建ぺい率」とは、所有している敷地面積と建築面積の割合のことをいいます。

なお、建築面積というのは、建物を真上から見た際の面積のことです。例えば、2階よりも1階の方が面積が広い場合、1階部分の面積が建築面積に該当するということになります。

要するに、建ぺい率というのは「所有している土地の広さに対して、どれくらいの大きさの建物を建築することができるか」という割合を決めている建築制限の種類なのです。

 

容積率とは

建ぺい率と同様に代表的な建築制限のひとつが「容積率」になります。この容積率とは、敷地面積における延べ床面積の割合のことを定めた制限です。

なお、延べ床面積とは、建物の床面積を合計した数値のことで、例えば1階が50㎡、2階が30㎡なら80㎡がその建物の延べ床面積になります。

建築面積の広さを制限する建ぺい率に対して、容積率というのは「敷地に立てることができる住宅の規模を制限する仕組み」ということです。

一定の制限が決められている理由

建ぺい率や容積率によって建築できる面積や規模に制限をかけているのには、当然それなりの理由が存在します。

まず、建物の広さを制限している建ぺい率というのは、建物同士が近づきすぎないように制限をかけている仕組みです。距離を確保することによって、火災による延焼や建物の倒壊時における被害の拡大を防ぐ目的の制限ということです。また、日当たりや景観を維持するという目的も含まれています。

一方で、建物の規模を制限している容積率というのは、快適な住環境を確保する目的の制限です。例えば、容積率で制限がない状態だと、好きなだけ階数を増やすこともできてしまいます。すると、人口のコントロールができず、人口が密集した状態になるのです。

この場合、電力不足やガス・水道などのライフライン供給、交通渋滞などを引き起こし、非常に住みにくい街になる可能性があります。これらを避けるためにも、容積率によって一定の制限をかけているということになります。

用途地域で変わる、建ぺい率と容積率

建ぺい率と容積率というのは、用途地域によって適用される割合の上限が変動します。なお、用途地域とは、建物の種類に応じて13種類に区分されている地域で、同じような建物で土地を利用することで利便性の高い地域にすることを目的にしています。

用途地域による建ぺい率・容積率の数値は、以下の表を参考にしてください。

 

用途地域

建ぺい率

容積率

1種低層住居専用地域

30

40

50

60

50

60

80

100

150

200

2種低層住居専用地域

田園住居地域

1種中高層住居専用地域

100

150

200

300

400

500

2種中高層住居専用地域

1種住居専用地域

50

60

80

2種住居専用地域

準住居地域

準工業地域

近隣商業地域

60

80

商業地域

80

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1100

1200

1300

工業地域

50

60

100

150

200

300

400

工業専用地域

30

40

50

60

建ぺい率と容積率の計算方法

建ぺい率や容積率は、簡単な計算ですぐに算出することができます。計算方法を知っておくとどの程度の割合になるのか事前に把握できるため、各計算式についてチェックしておきましょう。

ここからは、建ぺい率と容積率の計算方法について解説します。

建ぺい率の計算方法

建ぺい率を算出するための計算式は以下のとおりです。

 

【 建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積 ×100 】

 

上記の計算式を基にすると、敷地面積が100㎡で建物の建築面積が60㎡だった場合、建ぺい率の割合は60%になります。

もし、建ぺい率が60%に定められている場合、30坪の敷地なら18坪未満に抑える必要があるということです。

容積率の計算方法

容積率を算出するための計算式は以下のとおりです。

 

【 容積率 = 延べ床面積 ÷ 敷地面積 ×100 】

 

1階と2階の延べ床面積が100㎡、敷地面積が150㎡だった場合、容積率は150%になります。

このように容積率というのは、建ぺい率とは違って100%を超えるようなことが多い傾向にあります。

建ぺい率や容積率の緩和条件とは

 

建ぺい率や容積率というのは、条件を満たすことで緩和措置が適用できることがあります。制限が緩和されることで大きな建物を建築できるようになるなど、メリットも非常に大きいです。

そのため、ここからは建ぺい率や容積率の緩和条件とは具体的にどのような内容なのかを解説します。

建ぺい率の緩和条件1:角地緩和

建ぺい率の緩和条件には、角地緩和というものがあります。この角地緩和とは、その名の通り角地に建築する際に建ぺい率が緩和されることを言います。街区の角にある敷地、またはこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものが該当します。

条件を満たしている場合、建ぺい率が10%ほど加算されます。例えば、現状の建ぺい率が60%の場合、角地緩和が適用されることで70%まで建ぺい率が認められるということになります。

建ぺい率の緩和条件2:耐火・準耐火建築物に対する緩和

令和元年に施工された建築基準法の一部を改正する法律により、準防火地域の耐火・準耐火建築物に対する建ぺい率が10%緩和されることになりました。例えば、準防火地域で120㎡の建物が建ぺい率60%で制限されている場合、10%ほど緩和されるため70%まで建ぺい率が認められます。

建ぺい率がこのように緩和されることで建坪の限度も増加するため、より大きな建物を建築できるなどメリットが非常に大きいといえるでしょう。

容積率の緩和条件

建ぺい率と同様に、容積率も一定の条件を満たすことで緩和条件が適用されることがあります。以下のような条件を満たした場合に緩和される特例があります。

 

・特定道路(幅員15m以上の道路)

・地下室

・駐車場

 

例えば、前面道路の幅員が6m以上12m未満、かつ特定道路までの距離が70m以内の土地に関しては容積率が緩和されます。また、地下室がある場合は床面積の1/3を上限に除外される他、駐車場がある場合についても1/5を上限に容積率の計算から除外することができます。

建ぺい率・容積率以外にもある建築制限の種類

代表的な建築制限といえば建ぺい率と容積率になりますが、実はそれ以外にもさまざまな建築制限が存在します。

ここからは、建物を建築する際に重要となる制限の種類と特徴について詳しく解説します。

日影規制

日影規制とは、冬至の日(12月22日)を基準として、全く日が当たらないことがないように建物の高さを規制する建築制限のひとつです。冬至は一年の中で最も影の多い日のため、この日を基準にした日影規制となっています。

なお、日影規制は用途地域に応じて高さなどが定められています。例えば、第二種低層住居専用地域などは、軒の高さ7mを超える建物、または地階を除く階数が3階建ての建物と定められています。

斜線制限

斜線制限とは、道路境界線や隣地境界線から建物までの距離を基準に高さを制限する建築制限になります。これは隣地や道路の採光性や通風を確保する上で、建物によって圧迫感を生じさせないための規制の一種です。

なお、斜線制限には以下のような種類があります。

 

・道路斜線制限

・北側斜線制限

・隣地斜線制限

 

道路斜線制限は、前面道路の通風や採光性に支障がでないようにするための制限です。一方、北側斜線制限というのは、建物北面の採光性・日当たりを確保するための制限になります。

なお、隣地斜線制限については、隣人の日当たりや通風を確保するために設けられている高さ制限になります。

絶対高さ制限

絶対高さ制限とは、第1種低層住居専用地域や第2種低層住居専用地域、田園住居地域に適用される建物の高さ上限規制になります。この制限によって、主に都市計画で定められた高さ上限の10m、もしくは12mを超えて建物を建築することはできません。

これは低層住居の環境保護を目的としており、日当たりや通風を確保するための制限になります。ただし、上記の用途地域においても、周辺に広い公園がある場合や低層住居に対して阻害要因がないと特定行政庁が認めた場合、制限が適用されない緩和措置の例外もあります。

 

高度地区の制限

高度地区とは、用途地域における市街地の環境を維持するため、建築物の高さを制限する地区のことを指します。なお、高度地区には、高さ上限を定めた最高限度高度地区と、低さの下限を定めた最低限度高度地区があります。

最高限度高度地区は、日照や採光、通風などを確保する目的で定められた地区になります。一方、最低限度高度地区は、高さの下限を設けることで、市街地中心部で高度な土地利用を図るための目的の地区となります。

なお、高度地区における高さ制限については、上記でも解説した斜線制限や絶対高さ制限などが活用されている傾向にあります。

建ぺい率や容積率に違反したらどうなるか

建物を新築する際はもちろんのこと、リフォームを実施する際にも建築制限に適合した工事をしなければなりません。建築基準法における制限に適合しない物件は、様々な弊害が生じるため注意しましょう。

ここからは、建ぺい率や容積率に違反している場合どのようになるのかを紹介します。

違反建築物として扱われる

建ぺい率や容積率に違反している場合、建築基準法や都市計画法などに違反している建築物として扱われてしまいます。建築基準法における違反建築物になるため、建築基準法に基づいて行政から以下のような対応を受ける可能性があります。

 

・行政指導

・工事停止命令

・除却命令

・使用停止命令

 

これらの行政から受けた指導に従わない場合、さらに強制力の強い行政処分を受ける可能性があるので注意しましょう。

なお、違反建築物と混同しやすいのが「既存不適格建築物」です。建築当時は法令に適合していたものの、現行法には適合していない物件のことを指すため、上記で解説した違反建築物には該当しません。

住宅ローンが組めない

建ぺい率や容積率に違反した違反建築物の場合、住宅ローンが組めないので注意しましょう。住宅ローンは低金利かつ長期間で借りることができる一方で、貸し出しにおける審査基準も厳しい傾向にあります。

なかでも、違反建築物のまま住宅ローンを組める可能性は非常に低いため、すべて現金による取引になってしまうデメリットがあります。大規模なリフォームや不動産売買など、非常に高額な取引を行う際には、住宅ローンが組めない点が大きなデメリットになるでしょう。

住宅ローンなどを利用する際には、現行法に適合した内容にリフォームを行うなど、別の対策が必要になります。

まとめ

建ぺい率や容積率というのは、火災による被害の拡大を防ぐ目的や、日当たりや景観、快適な住環境を守るために一定の制限がかけられています。建ぺい率や容積率はご自身でも簡単に計算することができるので、リフォームの工事選定や新築時における土地探しの参考にしてみましょう。

なお、建ぺい率や容積率に違反した物件は違反建築物として扱われます。住宅ローンも利用できなくなるほか、多くの弊害が生じる可能性もあるため注意しましょう。

おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございました。
建ぺい率・容積率について考える際は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

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