はじめに
四方を壁や天井に囲われているガレージとは違い、カーポートは屋根と柱のみの簡易的な構成で造られた駐車スペースです。そのため、破損を防ぐために、台風シーズンなど強風が吹く時期には対策を実施しておくことが重要です。
そこで今回の記事では、カーポートの台風対策4選を紹介します。また、台風対策の重要性から注意すべきポイント、台風でカーポートが破損してしまった場合の対処法などもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
福田造園の簡単な歴史
1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。
カーポートの台風対策が必要な理由
駐車スペースのカーポートは、簡易的な造りをしているため、適切な台風対策を行う必要があります。しかし、なぜカーポートに台風対策が必要なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、台風による影響やカーポートの台風対策が必要な理由について解説します。
台風の影響について
日本国内では、7月から10月にかけて台風が多く発生するシーズンであり、住宅被害の発生件数が増加します。特に風速20mを超えるような台風では、家屋の屋根が吹き飛ばされたり、外壁が飛来物の影響で破損したりといった住宅被害も発生します。
また、台風被害ではカーポートの屋根が飛ばされることも少なくありません。なお、特に最近では短時間で非常に激しい雨が降るケースもあるため、急な河川の増水や住宅および道路の浸水といった被害も発生します。
このように、日本国内において台風による住宅被害の影響は非常に大きいため、適切な台風対策に取り組んでおく必要があるのです。
カーポートの屋根は飛ばされやすい設計
カーポートは支柱と梁、屋根で構成された簡易的な造りをしています。台風のように強風が吹くと、支柱に負担がかかって倒壊などの被害が起きてしまう可能性があります。
このような理由から、カーポートの屋根はもともと飛ばされやすい設計をしています。屋根が外れることで支柱にかかる負担を軽減できるため、被害を少なくするためにこのような構造をしているのです。
カーポートの台風対策4選
カーポートの台風対策は以下のとおりです。
・屋根が飛ばされないように補強する
・揺れを抑えるために補強する
・倒壊を防ぐために補強する
・台風に強いカーポートを設置する
適切な対策を施すことで、台風被害を抑制することができます。二次被害を出さないためにも、適切なカーポートの台風対策に取り組みましょう。
屋根が飛ばされないように補強する
カーポートの屋根はそもそも飛ばされやすい設計をしていますが、オプション品を利用することで、飛ばされないように対策することができます。例えば、各メーカーでは以下のようなオプション品が利用できます。
・屋根ホルダー
・パネル抜け防止材
・屋根ふき材補強部品
これらは各メーカーで呼称が異なりますが、基本的に屋根のパネルを補強する部材です。ポリカーボネート系の多いカーポートの屋根は、そのままの状態ではすぐに強風で飛ばされてしまいます。
しかし、このような補強部材を取り付けることで飛ばされにくくなり、二次被害を出さないように予防することもできます。
揺れを抑えるために補強する
カーポートは簡易的な柱で屋根を支えているため、強風であおられてしまうと揺れが激しくなり損傷する可能性があります。そのため、横揺れなどを軽減する補強部材を取り付けることで、カーポートが破損するのを防ぐことが可能です。
例えば、片側支持タイプのカーポートは片側2本の柱で屋根を支えていますが、補強柱を取り付けることで4本の支柱で屋根を支えることができます。これにより強風で発生する横揺れを抑えられるので、カーポートが破損してしまうリスクを大幅に軽減できます。
なお、着脱式タイプの支柱であれば必要のないときは収納しておくこともできるので、カーポート周辺をスッキリと見せておくことも可能です。
倒壊を防ぐために補強する
アルミ素材を使用したタイプのカーポートの場合、母屋の中身は空洞です。母屋とは、屋根の一番高い部分と低い部分に平行に設置されている水平部材で、カーポートの屋根を支えるために重要な役割を持っています。
しかし、軽量化するために中身が空洞になっているので、強風にあおられてしまうと折れてカーポートが倒壊する可能性があります。そこでカーポートを販売しているメーカーの多くは、空洞の母屋の中身に補強部材を入れて、強度を上げることができるオプションを用意しています。
この母屋補強部材を使用すると通常よりも強度が増すため、揺れによって母屋が破損して倒壊するのを防ぐことが可能です。
台風に強いカーポートを設置する
台風のような強風にも強いカーポートを設置することが、もっとも効果的な台風対策です。各メーカーからはさまざまな種類のカーポートが販売されていますが、風に強い種類は耐風圧をチェックすることで判断することができます。
各メーカーでは耐風圧強度は「基準風速V0」で表記していることが多いです。この基準風速V0とは、過去の台風被害や風の性質に応じて国土交通大臣が定めた風圧の目安となっています。
Vo=38m/sやVo=40m/sの製品など、基準風速をもとに台風に強いカーポートを設置して、強風に備えておくことが重要です。
一時的に行えるカーポートの台風対策について
前項で解説したように、しっかりと台風対策を実施することも重要です。ただし、部材の新調やカーポートの交換などは相応の費用も発生するため、低コストで一時的に対策を施したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、一時的に行える簡易的なカーポートの台風対策について紹介します。
カーポート周辺を片付ける
本格的な台風が来る前にカーポート周辺を片付けておくことは、効果的な台風対策になります。例えば、ガーデニングをする際の小物をカーポート周辺に仮置きしている場合、強風で飛ばされてしまう可能性があるので事前に片付けておきましょう。
小物類は飛ばされた際に車にぶつかって破損させる可能性があるほか、近隣周辺の建物にぶつかり損傷させてしまうリスクもあります。また、飛ばされた小物類が歩行者にぶつかってケガをさせてしまう可能性もあるので、台風が来る前に片付けておくことが重要です。
屋根材を事前に外しておく
一般的なカーポートは、強風にあおられると屋根が外れやすい構造をしています。しかし、実際に強風の影響で屋根が吹き飛ばされた場合、屋根材が人に当たりケガをさせてしまうケースや、近隣周辺の建物にぶつかり破損させてしまうことも考えられます。
このような二次被害を出さないためには、事前にカーポートの屋根材を外しておくことが効果的です。ポリカーボネート樹脂の屋根材などは簡単に取り外すことができるので、事前に外して台風対策を実施しておきましょう。
固定部位を再チェックする
本格的な台風が到来すると強風によってカーポートがあおられてしまうので、事前に固定部位を再チェックしておきましょう。例えば、屋根材を留め付けているビスに緩みがないか、きちんとチェックしておくことが重要です。
また、支柱や梁部分のビスに緩みが生じていないか確認しておきましょう。緩んだままで強風に煽られてしまうと、揺れによってカーポートが破損する可能性があるほか、最悪のケースでは倒壊する可能性もあるので注意が必要です。
カーポートの台風対策における注意点
カーポートの台風対策を実施する際には、以下の点に注意しましょう。
・ネットやテープで補強しない
・樹木で支えるのは避ける
間違った台風対策を実施すると、二次被害が起きてしまう可能性があるので注意が必要です。正しい対策に取り組むためにも、どのような点に注意すべきなのか確認しておきましょう。
ネットやテープで補強しない
カーポートの屋根が飛散しないようにネットで補強をするのは、逆効果になる可能性があるのでやめましょう。ネットで補強する程度では吹き飛ばされてしまうリスクがあるほか、余計な負荷がかかり支柱まで破損する可能性があります。
また同様の理由で、テープで補強するのも控えましょう。テープなどの簡易的な補強では、強風に耐えることができません。余計な負荷が支柱にかかる可能性がある点も同様です。ネットやテープでは本格的な補強にはならないので、正しい補強を行って対策しましょう。
樹木で支えるのは避ける
強風の影響でカーポートが倒壊するのを防ぐために、樹木で支えるといった台風対策は避けましょう。樹木の場合は風の影響を受けると折れてしまう可能性があるため、補強部材としては信頼性に欠けます。
また、支えとして利用している木が折れて飛ばされてしまうと、二次被害が出る場合もあります。カーポート専用の補強部材を使用すればこれらの問題は生じにくいので、樹木を利用してカーポートを補強するのは避けましょう。
カーポートが台風で破損した場合の対処法
万が一、カーポートが台風で破損した場合については、以下のような対処法を実施しましょう。
・破損部位を回収する
・近隣周辺の被害状況を確認する
・火災保険が活用できるか確認する
できる限りの台風対策を実施している場合でも、強風の影響で台風が破損する可能性は十分にあります。そのため、上記における台風被害の対処法を押さえておきましょう。
破損部位を回収する
カーポートが台風被害で破損してしまった場合、その破損した部位を早期に回収しましょう。例えば、ポリカーボネート樹脂の屋根が強風で吹き飛ばされてしまった場合、そのまま放置しておくと強風が吹けば再度吹き飛ばされてしまいます。
飛ばされてしまった屋根が人に当たるとケガをする可能性が非常に高いので、二次被害を出さないために早期に回収しなければなりません。なお、破損部位を回収した際には、屋外に仮置きするのではなく、屋内など飛ばされない環境で保管しておきましょう。
近隣周辺の被害状況を確認する
カーポートが台風で破損した場合、破損部位を回収するとともに近隣周辺の被害状況も確認しておきましょう。例えば、屋根の一部が隣家まで飛ばされている場合、物置や外壁、窓などが破損していないかチェックしておくことが重要です。
基本的に、自然災害における損傷は損害賠償請求の対象外となるため、隣家に対して賠償責任は発生しません。しかし、明らかにメンテナンスを怠っていたことによって屋根が飛ばされるなど、一定の不具合が生じていた場合は賠償責任が発生することもあります。
加えて近隣周辺に被害が生じると、偶発的に発生した自然災害の影響とはいえ、相応の責任も生じるでしょう。そのため、まずは近隣周辺のどの程度被害が発生しているのか、状況を確認しておくことが重要です。
火災保険が活用できるか確認する
台風の影響でカーポートが破損してしまった場合、火災保険が活用できるのか保険会社に確認しましょう。火災保険では、火災による損害だけでなく、台風など自然災害によって受けた損害も補償することができます。
火災保険には補償の対象を「建物」「家財」「建物+家財」と区分しており、このうち「建物」または「建物+家財」で契約している場合は、台風被害を火災保険で補償することが可能です。
なお、火災保険には台風に備えて以下のような補償が含まれています。
・風災補償
・落雷補償
・水災補償
火災保険に含まれている風災補償では、台風など強風によって飛ばされた屋根の破損も補償対象としています。カーポートは建物の付帯設備になるので、このような損害も火災保険を利用して修理することが可能です。
ただし、契約している免責金額を下回る修理は自己負担になるので、損害額には注意しましょう。
おわりに
日本国内では毎年台風シーズンに、強風による被害が多発しているため、カーポートにおいても台風対策を実施しておくことが重要です。正しい台風対策に取り組んでおけば、被害を最小限に食い止めることができます。
一方で、適切な台風対策をしても被害が出てしまう場合はあります。そのため、万が一被害が発生した場合は、破損部位を回収しつつ、近隣周辺の被害状況なども確認しましょう。その上で、火災保険が活用できるかどうか、保険会社に問い合わせをしてみることが重要です。