はじめに
紫外線による劣化や雨風から愛車を守ってくれるカーポートは、人気の高いエクステリア商品の一つです。設置することによるメリットの多いカーポートですが、どれくらいの耐用年数なのか気になっているという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、カーポートの耐用年数はどれくらいなのかを解説します。また、カーポートが劣化してしまう要因や、少しでも長持ちさせる方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
福田造園の簡単な歴史
1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。
カーポートの耐用年数を確認するケースとは?
駐車場エリアに設置するカーポートは、安価なタイプでも数十万、高価なモデルや複数台駐車できるタイプなら数百万円を超えるものもあります。一般的に固定資産税の課税対象ではないものの、事業用で設置した際には固定資産として減価償却をしなければなりません。
減価償却とは、設備投資などの費用を一定期間に配分して会計処理をすることです。この際に必要になってくるのが耐用年数で、固定資産を減価償却する場合は耐用年数が必要になります。
カーポートの耐用年数について
事務所の駐車場などに設置する事業用のカーポートは固定資産として計上するため、耐用年数に応じて減価償却をする必要があります。では、カーポートの耐用年数は、どれくらいになるのでしょうか。
ここでは、カーポートの減価償却を行う際に知っておきたい勘定科目から耐用年数の基礎知識を紹介します。
勘定科目
会計処理をする際には、勘定科目を付けて仕分ける必要があります。この勘定科目は取引内容を見やすくするために付ける見出しのため、カーポートを設置した際にも勘定科目を付けて分類しなければなりません。
固定資産に分類されるカーポートの場合、耐用年数表にその記載はありません。しかし、構造的に考えると、耐用年数表における「構築物」における「金属造のもの」のうち「その他のもの」に該当します。そのため、勘定科目は「構築物」として取り扱うのが通常でしょう。
国税庁の定める耐用年数は45年
国税庁は減価償却における耐用年数を公開しており、このうち固定資産の構造物に分類される「金属造のもの」の「その他のもの」の法定耐用年数は45年としています。そのため、カーポートの耐用年数は45年として認識するべきでしょう。
ただし、一般的なカーポートの場合、実際に45年もの寿命を持つケースはまれです。そのため、国税庁の定める耐用年数とは、実際に45年の寿命があるというわけではなく、あくまで減価償却をする際に取り決めている法定耐用年数という認識になります。
短縮制度を活用すれば15年
前項でも解説したとおり、カーポートの耐用年数は45年になります。しかし、この45年というのは実態からかけ離れた年数で、実際に利用できる期間とはいえません。
このように実際の寿命と耐用年数がかけ離れている場合、耐用年数の短縮制度を利用することができます。この制度は、対象となる資産の実際の寿命と法定耐用年数に10%以上の差が生じている場合に利用することができます。
この制度を活用すると、耐用年数を通常45年のところ15年まで短縮することができます。
カーポートの寿命は耐用年数よりも長い
短縮制度を活用したカーポートの耐用年数は15年ですが、実際には15年以上使用できるケースが大半です。では、具体的にカーポートはどれくらいまで使用できるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、カーポートを構成する屋根と柱それぞれの寿命と特徴について解説します
屋根の寿命と特徴
カーポートの屋根材には、以下に挙げる3つの種類の屋根が使用されています。
・ポリカーボネート樹脂
・塩化ビニル樹脂
・スチール折板
現在、もっとも多く使用されているカーポートの屋根材は、ポリカーボネート樹脂製の屋根材です。このタイプの屋根材は耐熱性や耐寒性などにも優れており、加工もしやすいことから比較的安価に取り付けることができます。耐久性も15年以上は持つといわれているため、耐用年数よりも寿命が長いことになります。
一方で、塩化ビニル樹脂でできた屋根材は、最近ではあまり見かけることが少なくなった屋根材の一つです。主に加工しやすく割れにくいという特徴がありますが、その一方で、紫外線に弱く経年劣化が早い一面があります。そのため、耐久性もポリカーボネート樹脂より短く、おおよそ10年程度といわれています。
スチール折板の屋根材は金属製なので強度も高く、積雪が多い地域で屋根の強度が求められる場合に最適です。耐久性も屋根材の中ではもっとも長く、約30年の寿命が期待できる屋根材です。
柱の寿命と特徴
カーポートを構造的に支える柱や梁の部分は、アルミ素材またはスチール素材でできています。使用されている金属の種類によっても耐久年数と特徴が異なるので、それぞれの特徴を紹介します。
アルミ素材でできた柱や梁の場合、スチールよりも軽量ですが、強度が確保されているという特徴があります。加工もしやすくサビにも強い素材なので、比較的短い期間で施工が完了します。なお、耐久性については30年以上と寿命が長いですが、その反面スチールよりもコストが高くなる傾向があります。
スチール素材の柱や梁は、強度に優れている特徴があります。衝撃や積雪の重みにも耐えられる素材なので、強度が求められる積雪エリアにも多く採用されています。一方で、サビには弱い素材なので、沿岸地域では劣化が早くおすすめしません。
なお、スチールは素材としての耐久性は30年以上ありますが、5年ごとに塗り替えなどのメンテナンスをしなければならない一面があります。
耐用年数の長いカーポートが劣化する要因
比較的寿命が長く、長期間使用できるカーポートですが、さまざまな要因で経年劣化が進行します。劣化要因を知ることで適切なメンテナンスを実施できるため、それぞれの内容を確認しておきましょう。
そこでここからは、耐用年数の長いカーポートが劣化する代表的な要因について解説します。
経年劣化
カーポートが劣化する要因の一つが、経年的な劣化です。経年劣化とは、時間の経過によって素材の品質が徐々に低下する現象のことを指しており、変質や変色、ひび割れなどの症状が徐々に現れてきます。
例えば、カーポートの屋根は紫外線や雨風の影響をもっとも多く受けてしまう部位なので、日々劣化が進行しやすい場所です。特に紫外線による影響は強く、経年劣化が進むと初期段階では色あせなどが生じますが、より劣化が進むと屋根が破損または変形します。
立地環境
経年的な劣化以外にも、立地環境に起因してカーポートが劣化する可能性があります。例えば、湿気のこもりやすい環境にカーポートを設置した場合、カビやコケなどが付着しやすく素材を傷めるリスクが高まります。
また、沿岸部に近い場所でカーポートを設置した場合、塩風害によって金属のカーポートが腐食するかもしれません。このようなケースでは、内陸部に設置したカーポートよりも腐食が進みやすいので、劣化のスピードも早い傾向があります。
自然災害
カーポートが破損する大きな要因は、自然災害に起因するものが多いです。例えば台風シーズンに、ポリカーボネートのように軽い屋根は、強風にあおられて飛ばされてしまうこともあります。
また、飛来物によってカーポートが破損することもあります。例えば、強風で飛ばされた木の枝などがカーポートの屋根に当たると強い衝撃が加わるため、ポリカーボネートの屋根ならすぐに破損してしまうでしょう。
積雪エリアであれば、雪の重みや建物側の屋根から落ちた雪によって、カーポートが破損するケースもあります。
外的要因
カーポートはさまざまな要因で劣化や損傷を受けますが、外的要因によっても破損するケースがあります。例えば、バルコニーやベランダ、上層階の窓の直下にカーポートを設置している場合、落下物によってカーポートが破損する可能性があります。
また、駐車する際にカーポートの柱にぶつかってしまい損傷するというケースもあるでしょう。アルミ素材の柱などは強い衝撃が加わるとすぐに損傷してしまうので、これら外的要因による破損には注意しなければなりません。
耐用年数よりもカーポートの寿命を伸ばす方法
カーポートの寿命を伸ばすためには、以下のような方法を取りましょう。
・定期的にメンテナンスを実施する
・必要に応じて補強する
・定期的にクリーニングを実施する
適切な対策を実施していくことで、カーポートをより長く使用することができます。カーポートの寿命を少しでも長くするためにも、どのような方法があるのかチェックしてみましょう。
定期的にメンテナンスを実施する
定期的にメンテナンスを実施することで、カーポートの寿命を伸ばすことができます。例えば、ネジの緩みなどを定期的にチェックしておくことで、強風の影響で屋根が飛ばされてしまうリスクも低減させることができます。
また、雨どいやドレンまわりに詰まりがないかチェックすることで、汚泥が滞留して水がたまってしまうのを防ぐことが可能です。水がたまっている状態が長く続くと金属が腐食する原因にもなるので、このように定期的なメンテナンスを心がけていくことが重要となります。
その他にも、積雪の多いエリアの場合、雪下ろしの作業なども行っていく必要があります。これらのメンテナンスを怠ると、雪の重みでカーポートが変形したり破損したりする可能性があるので、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
必要に応じて補強する
カーポートの破損を予防するためには、必要に応じて補強するのが効果的です。例えば、カーポートは以下のような方法で補強をすることができます。
・サポート柱
・屋根ホルダー
・母屋補強材
カーポートの柱は、大きく3つの種類に分かれています。1つ目は片側だけに支柱のある片側支持タイプ、2つ目は両側に柱を置く両側支持タイプ、3つ目は後ろ側に柱を立てて乗り降りを楽にする後方支持タイプです。
このようにいくつかのタイプに分かれている柱ですが、カーポートの柱は強風や突風によって影響を受けてしまうことがあります。特に片側支持タイプは柱の補助となるサポート柱を取り付けることで、しっかりとカーポートの躯体を支えて強風に備えることができるのです。
また、屋根ホルダーも効果的なカーポートの補強用具といえます。屋根ホルダーは屋根を固定する補助具のことで、強風によって屋根が飛ばされてしまうのを防ぎます。屋根ホルダーがあることで、屋根が吹き飛ぶリスクを低減することが可能です。
なお、母屋補強材も屋根ホルダーと同様に効果的な補強用具になります。母屋補強材は屋根の骨組み部分に設置することで強度を増すことができる補強材で、強風による揺れなどの影響を軽減することができます。
定期的にクリーニングを実施する
定期的にカーポートをクリーニングしておくことで、腐食やサビの発生を抑制することが可能です。例えば、屋根や柱にカビやコケなどが多く付着しているような環境では常時湿気がたまっているため、金属部分が腐食しやすい傾向があります。
また、雨どいは屋根部分に蓄積した砂や汚れが雨に流されて沈殿する場所なので、定期的に泥や木の枝、落ち葉などを取り除くことが重要です。これらも放置すると詰まり、水がたまりやすくなってしまうので、周辺の金属部分を腐食させる可能性があります。
このような問題も、定期的にクリーニングを実施することで解消させることができます。腐食を抑制するためにも、カーポートを定期的にクリーニングしてきれいな状態を保ちましょう。
おわりに
基本的にカーポートの法定耐用年数は45年ですが、短縮制度を活用することで15年にすることができます。なお、実際に使用できる寿命・耐久性は、素材によっても異なりますが15年から30年程度です。
カーポートは経年的な要因や立地環境、自然災害、外的要因など、さまざまなことが原因で劣化や破損をします。そのため、必要に応じて補強をしたり定期メンテナンスを実施して、より長く使えるようにしていくことが重要です。