はじめに
こんにちは!コラム担当です。
みなさんは、「外構」と聞いて、まず初めに何が思い浮かぶでしょうか?
実にたくさんのアイテムがある「外構」ですが、今回はその中でも、カーポートについて解説していきます!
私はもともと、お客様のお庭をご提案する、エクステリアプランナーでした。
プランナーをやっていたのは3年間でしたが、そのなかでも、「カーポートがほしい」といったご依頼が特に多かったように感じています。
愛知県は特にクルマ社会の傾向が強いため、そういった依頼が多いのかもしれませんね。
とはいえ、「カーポートは欲しいけど、どういう基準で選んだらいいですか?」という質問がしばしばあります。
同じ疑問を抱えて、このコラムへたどり着いた方もいらっしゃるのでは。
それでは早速、カーポートの選び方について解説していきます!
この記事が、外構づくりの一助になれば嬉しいです。
福田造園の簡単な歴史
1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。
カーポートの種類紹介
それではまず、「そもそも、カーポートにはどんな種類があるのか?」をご紹介していきます!
ここでは、私がお客様へ種類を紹介する際によく使っていた分類を用いて説明しようと思います。
(そのため、この分類は、あくまで個人的な意見によるものです。参考程度にお願いいたします)
カーポートの種類は、大きく分けて3つです。
この「大きく分けて3つ」の基準ですが、キーワードはズバリ<屋根の種類>です!
よく見る、透明な屋根のカーポート
さて、ご紹介する中で一番ポピュラーであり、一番選ばれているのが、透明な屋根のカーポートです。
このカーポートは、メーカーや製品の特徴により、いろいろな名称があります。
しかし、基本的な部分である”耐風圧”などは、ほとんど同じような性能を兼ねているのです。
家の外につけるものですから、基本的にはあまり変わりないというのは、当たり前といえば当たり前かもしれませんね。
ところで、先ほどから出てくる「透明な屋根」というキーワード。
実はこの「透明な屋根」、各社共通の名称を持っています。
その名も、「ポリカーボネート屋根」。
以降は省略して、「ポリカ屋根」と呼びます。まずは、このポリカ屋根の性能から説明をしていきたいと思います。
ポリカ屋根の特徴と性能
★ポリカ屋根のステータス★
【耐衝撃度】ガラスの約200倍
【紫外線】ほぼ100%カット。車体塗装の色褪せいろあせや、車内シートの日焼けを防止
……いかがでしょうか?
ただの透明な屋根に見えても、高性能であることがわかります。
実は、さらに高性能なポリカ屋根も存在するんです!
それが、「熱線吸収ポリカーボネート」。
もうワンランク上に、「熱線遮断ポリカーボネート」なんていうのも存在しています。
「熱線」というのは、近赤外線のことです。これらをカットすることで、真夏の炎天下でも、車内温度が上昇しにくい特性を持っています。
こういった特性を持っている「熱線吸収・遮断」のポリカーボネート屋根ですが、透明やかすみがかった白色が選べないことも。
薄い青色や、紺色のような暗っぽい色味になってしまうのを避けたい方は、この点に注意してください。
ポリカ屋根がオススメな建物の特徴
さて、これまでは、屋根の性能について説明をしました。
続いて、「どんな家にオススメなのか?」をお話ししていきます。
具体例として、3つ挙げてみました。あなたの家には当てはまっているでしょうか?
1)カーポートをつけると、家が暗くなる
窓が駐車場に面している場合は、カーポートをつけてしまうと日光が遮られ、家の中が暗くなってしまいます。
暗くなるのは、ちょっとな……と思っている方には、透明もしくは白っぽい色のポリカーボネート屋根がオススメです。
2)外回りを、優しい雰囲気にしたい
屋根が光を通さないと、クールな雰囲気や重厚感のある外構、というイメージが大きいです。
暗っぽいので、明るめの外壁であったり、緑いっぱいのガーデニングで、カントリーな家づくりをしていらっしゃる方には不向きかもしれません。
そんな時に、光を取り入れることのできるポリカ屋根をお選びいただくことで、作りたい雰囲気を崩さずに理想を叶えることができます。
3)なるべく予算を抑えたい
他の種類のものは、この後ご説明しますが、屋根に使用されている材料が重たいものが多いです。
となると、重いものを支えるには、さらに頑丈な柱や基礎の部分(埋め込みなど)が必要です。
そのため、それらを作る代金が多くなってしまいます。
また、素材をしっかりしたものにしようとすると、その代金も多くなります。
極端な話ですが、ガラスとダイヤモンドを想像してみてください。ダイヤモンドの方が希少価値が高いため、金額も高くなります。それはもちろんですが、材料の硬さ、輝き等々、ダイヤモンドの方が上回っていますよね。
ガラスが劣っているわけではないのですが、こうした製品状の違いが、金額の差に出てきます。
そういうわけで、ポリカ屋根は、他の製品より比較的手頃に用意できる製品のため、予算を抑えたい方にオススメであるといえます。
たまにある、屋根がギザギザしたカーポート
さて、続いては、屋根がギザギザしたカーポート。
いわゆる、「セッパンカーポート」と呼ばれるカーポートのご紹介です。
セッパンカーポートは、折板セッパンと呼ばれる材料で作られた屋根のカーポートのことをいいます。
山折、谷折、と波打っているような形の鉄板となっており、この折り方により強度を上げているのです。
もしかしたら、鉄板、と書いたことで、「サビるのでは?」とお気づきになった方もいるのではないでしょうか。
しかし、心配ご無用。このカーポートに使用されているスチール折板には、「ガルバリウム鋼板」という素材が使用されています。
このガルバリウム鋼板は、鉄の表面に、ガルバリウムという合金をメッキ加工したもので、鉄よりも耐久性のあるものになります。
全くサビない、というわけではありませんが、耐久性が上がること、また、風にも強いことから、積雪地域ではごく一般的なカーポートとなっています。
しかし現在では、全国各地で施工がなされています。
ですが、元々は積雪地域で好まれるカーポート。屋根の全体を覆うことが多く、どうしても屋根の下は暗くなってしまいます。
ですが、光を取り入れるためのポリカーボネートタイプ折板がありますので、採光には困りません。
しかし、このポリカーボネート折板は、全面に施工することはできません。
あくまでオプションという扱いで、鉄板、ポリカ、と交互に施工することになります。
また、「オプション」であるため、追加で金額がかかってしまうこともポイントです。
実例から見る、セッパンカーポートの利点
そもそも、初めからここまでを読んでくださった方のうち、自然光を取り入れることを重視されていらっしゃる方は、
「明かりも取れないし、取ろうと思ってポリカ屋根を入れると、オプションになっちゃうなんて、どこがいいの?」
と思われたかもしれません。
しかし、セッパンカーポートには、他の追随を許さないようなメリットがある!……と、私は思います。
なぜなら、建てる場所やシチュエーションへの対応力が高いからです!
対応力が高い、というと漠然としたイメージですよね。
では、少し想像してください。家のある土地は、必ずしも「平坦で真四角」という、土地のお手本のようなところに建っているわけではありません。
・水はけを考慮して傾斜がついている
・駐車場と家のある場所で高低差がある
・駐車場がナナメ
……などなど、上記のようにさまざまなパターンが存在しています。
すると、「カーポートを敷地を超えないように付けよう!」と思った場合、ポリカ屋根のカーポートが、希望通りに付かない可能性が出てきます。
カーポートをつけたいけれど、駐車場の高低差が激しい。
一番低いところと、一番高いところで、1メートル以上の差がある。
※福田造園に来店されたお客様との、実際の相談内容メモより抜粋
上記の場合、カーポートを施工するためには、「柱の長さ」が足りません。
試しに、下の図を見てみましょう。
さて、ここからは、少し頭の体操です!
左の柱(A)と、右の柱(B)では、1メートル以上の差がある。
そうすると、ポリカ屋根の製品では、「地面から2.8mになるもの」が最長であることがほとんどです。
すると、どうなるか?
左の柱(A)を、地面から2.8mにしたとします。
すると、右の柱(B)は、地面から1.8mしかなくなってしまうのです。
この高さでは、ワゴン車は入りません。
車どころか、背の高い人間でも、頭をぶつけてしまう高さです。
最低でも、2.0mくらいは確保しておきたいですね。
さて、これで問題点が見えました。
「柱の長さが足りず、カーポートなのに車が停められない」
これを解決できたのが、セッパンカーポートなんです!
メリットのまとめ
① 2.8m以上の柱を用意可能
強度確保のため、柱の太さが変わる場合もあります。
② 間口も広々確保
横幅の限度が決められている商品も多い中、約11mまで対応可能。
③ 変形敷地にも対応
ナナメの敷地なら、敷地に沿ったカットが可能。
実際に、上記3つのメリットが見事にマッチし、セッパンカーポートのご依頼を受けた事例が多くあります!
また、太陽光パネルを乗せられたり、蛍光灯をつけたりできるのもメリットです。
しかし、もちろんデメリットもあります。
デメリットのまとめ
デメリットはあるものの、こちらは「個人差」としかいえません。
というのも、経年劣化などに対しては、地域の気候、その年の天候。
施工後の暗さについては、意図的に暗くしたい、暗くても問題ない、といった家庭ごとの意見。
見た目も、「自宅につけるとイメージが違う」などのさまざまな要因が挙げられます。
そのため、以下の点は参考程度にとどめ、打ち合わせや家族での話し合いなどに役立ててくださればと思います。
① 天井材の劣化
ポリカ屋根では、劣化はそれほど気になりません。
しかし、セッパン屋根では、ガルバリウム鋼板の下にある天井材(自分達が、下から見上げてすぐ見える面)を施工する必要があります。
この天井材をペフと呼びます。これが、数年すると、発泡スチロールを崩した時のようにボロボロと崩れてしまう可能性が高いのです。
すると、ガルバリウム鋼板に霜が降りるなどで結露が発生した場合、ペフが吸収していた雫が、車に降り注いでしまいます。
これでは、カーポートの意味がなくなってしまいますよね。
ですが、このペフは、高耐久のものが開発され、今では数十年まで寿命が延びました。しかし、いずれ劣化してしまうことが気になる場合は、注意が必要です。
② 暗くなる
これは、屋根が鉄板で全て覆われることから起こります。
初めにもお話ししましたが、ポリカ屋根での明りとりも可能です。
しかし、このポリカ屋根はオプションになるほか、一列おきにしか差し込むことができないため、注意が必要です。
③ 存在感が出る
しっかりした、線が太めのカーポートであるため、存在感が出ます。
なるべくシンプルな外構にしたい方は、あまり好みと沿わない可能性があります。
セッパンカーポートがオススメな建物の特徴
以上を踏まえて、セッパンがオススメな家の特徴をまとめてみました。
これまでの説明から、「ウチはこれだな!」というきっかけを見つけていただけたでしょうか?
1)敷地に傾斜や三角の箇所がある
2)敷地が広いが、柱を増やしたくない
3)頑丈なカーポートが欲しい
こういった敷地に施工をお考えの方は、ぜひセッパンカーポートを検討してみてくださいね。
最近人気の、アルミ屋根カーポート
さて最後は、最近人気の商品について、少しだけ紹介します。
今までお話ししてきた、「ポリカ屋根」「セッパン屋根」の中間をとる、「アルミ屋根」の商品があるのです。
それが、LIXILさんの「カーポートSC」。
天板はスマートな厚みで、シルバーとブラックから選択。
柱も極力シンプルを目指した外見となっています。
価格も他社製品と比べ、比較的手の届きやすい商品です。(それでも高価ではあります……)
しかし人気のこの商品。
なんといっても、シンプル・イズ・ベストを形にしたようなスタイルが、やはり1番の魅力かと思います。
具体的には、以下の点です。
・雨水を排水する「雨樋あまどい」が、柱の中に組み込まれている
・アルミ天板の中に、ダウンライトを埋め込みできる
・シェードが直接取り付けできる
私がエクステリアの世界に飛び込んできたばかりの頃、この商品を知った時、「うわ、建物だコレ……」なんて驚いた記憶があります。
……というのも、2台用のカーポートSCは、ガルバリウムの外壁なんかと合わせたら、めちゃくちゃ一体感があるのではないかと思ったからです。
掃き出し窓から軒続きで、こんなシンプルなカーポートがあったら、インナーガレージといっても過言ではないのでは……?とすら思いました。(もちろん、過言です)
色々なアルミ屋根カーポート
さて、なぜわざわざ一種類だけ名前を挙げて紹介したのか?
実は、エクステリア商品では、アルミ屋根の商品は数少ないです。
他社からは、四国化成さんより、「マイポート7セブン」というアルミ天板のカーポートが発売されています。
グッドデザイン賞を受賞している、機能もデザインもスマートに兼ね備えた商品です。
しかし、後方支持の片持ち型のため、また少し違ったテイストのカーポートになっています。
三協アルミさんからも、「セルフィ」というカーポートが発売されています。
こちらは、カーポートSCほどノイズレスなデザインではありませんが、テラス屋根、サイクルポートと、商品の幅が多岐に渡っています。
2023年現在では、Ykkapさんからも新商品が発売されるなど、今、アルミ屋根の商品に注目が集まっているのです!
今後も、商品展開から目が離せませんね!
おわりに
いかがでしたか?
この記事は、カーポートを選ぶ際の基準を作る手助けになりましたでしょうか。
今回の記事では、
・ カーポートの種類は、大きく分類して3つ
・ ポリカ屋根、セッパン屋根、アルミ屋根とある
・ それぞれに、メリットとデメリットがある
という内容を詳しく解説していきました!
まだまだ判断材料としては物足りない……!という方は、次の記事に、更なるヒントを記載していきますので、ぜひお目通しください。
もっともっと詳しく知りたい!と思っていただけた方は、ぜひ、福田造園にご連絡ください!
エリア内でしたら、無料で相談を受け付けております。
その他、ホームページでの施工事例の掲載や、Instagramでも情報を発信しています!
素敵な外構づくりの参考にしていただければ幸いです!