はじめに
庭や家周りなど、「隙」を見つけては生えてくる雑草。手で抜いたり、除草剤を撒いてみたりと、自分でできる対策にも色々ありますが、どうしても地面に近しい作業なので同じ姿勢が辛くなったり、腰を痛めたり、時期によっては日光の暑さに負けてしまったり……。そんな雑草にほとほと困り果てて色々と調べはしたけれど、結局何がどういう効果をもたらすのか分からなかった……という方もいらっしゃるかとは思います。そこでこのページでは、お庭のプロである私たち造園屋が、雑草対策の方法について分かりやすく説明をしています!
最後までお読みいただくと、きっと困りごとへの最適解が見つかっているはずです。雑草対策を任せたい方、自分でやりたいけれど方法がわからない方には、ぜひ目を通していただき、参考としていただければ幸いです。
福田造園の簡単な歴史
1964年に創業。石屋からはじまり、名古屋城の石垣や公共の工事を手がける。ハウスメーカーの下請けを経て、「お客様の笑顔や感想を直接いただきたい」という想いのもと、外構・エクステリア屋として独立。外構・エクステリア・お庭工事などに関して、提案、製図、施工管理という全ての工程を自社で行っています。培ってきた造園屋としての知識、エクステリア・外構屋としての知識をいかんなく発揮し、お客様ひとりひとりに合った、より快適な生活を過ごしていただけるよう努めています。
よく出るキーワードTOP5解説
砂利、防草シート
はじめに、砂利と防草シートについてお話させていただこうかと思います。雑草対策で何をしようか考えたときに、まず皆さんが思いつくものの中のひとつではないでしょうか?
さて、なぜ「砂利」「防草シート」でひと項目ずつに分けなかったのか?それは、両方を同タイミングで施工することで、より効果が期待できるからです。
砂利編:種類について
砂利は、通常のしっかりした石のものを選ぶと良いでしょう。しっかりした石?と思った方は、ホームセンターに売っている防犯砂利を思い浮かべてみてください。実物は見たことがあるでしょうか?防犯砂利は、75デシベル以上の音が出るように作られています。人間が大きな声で話していたり、セミの鳴き声を間近で聞いたりするような「うるさい」と感じるレベルの音です。そのような大きな音を出すため、リサイクルガラスやセラミックなどの擦れて大きい音の出る素材が使用されています。それゆえ、踏んで歩くと大きな音が出る仕組みです。
しかし、この大きい音の出る素材を利用していることが、石自体がボロボロ崩れてくる原因のひとつとなっています。踏むたびに砕け、劣化が進むのです。また、踏んだ際に擦れて音が鳴るのですが、擦れているということは、粉が出てくるということ。粉塵で外壁や愛車、共用の道路などに汚れの影響を及ぼす場合があります。それだけでなく、小さいお子さん、ワンちゃん、ネコちゃんなどがいらっしゃる場合は、ガラス製の成分が混ざったものですと砕けた破片が刺さってしまう可能性もあります。そうなると必然的に、しっかりした石……つまり、天然石の砂利が有用になってくるというわけです。
では、天然石のもので何を選べばいいのか?というところですが、こちらはお家の雰囲気や、ご自身・ご家族の好きな色、などで大丈夫です。しかし、天然石のものはやはり、商品により価格差があります。また、これは天然石・防犯砂利の双方にいえることなのですが、敷くために結構な量を用意しないと、雑草対策にはなりません。
そのため、外から見える場所(外観に関わる場所)やこだわりたい場所のみ少し値の張るような天然石の砂利を敷き、他は安価な天然石の砂利で済ませる、といった流れが一般的です。
砂利編:敷く厚みについて
では、少し話題に出しましたが、雑草対策ではどのくらいの砂利の量を敷けばいいのか?という疑問です。弊社では、厚みをおよそ3~5cmとしています。これは、太陽光が防草シートまで届きにくく、なおかつ砂利から生えてきた雑草の処理がしやすい厚みだと考えているためです。
防草シートで土を覆い、砂利で対策をしても、砂利の上に着地した雑草の種は砂利の隙間に根を張り、育つ可能性が十分あります。しかし、砂利の隙間は土のように固まっているわけではありません。そのため、雑草を引っこ抜くときに余計なチカラはかからないわけです。砂利を敷いておけば雑草の数はぐんと減り、生えたとしてもするりと抜けるようになります。
しかし、対策として砂利をたくさん厚く敷いたとすると、今度は歩きにくくなってしまいます。人間の体重で沈む幅が多くなるためです。わかりやすいイメージでいうと、泥沼に足を取られて前に進むのが難しい、といったところでしょうか?そのため、太陽光を遮ることができ、人間が通るのに最適で、といった「ほどほど」のラインを3~5cmとしています。
そして、この3~5cmを作るためには、砂利の量をかなり用意する必要が出てきます。家周りが全部で10㎡とすると、必要な砂利は1㎡あたり80kgほど。一般に販売している砂利は一袋20kgのものが多いので、それを基準に考えると、1㎡につき4袋は購入の必要があります。すると、10㎡を埋めるためには40袋用意する必要があり、重さにして800kg。規模でいうと、軽トラックの荷台の最大積載量の三分の二ほどを占めます。かなりの量です。
DIYで行う方法もありますが、しっかりと対策を行うとなるとやはり用意が困難だったり、施工が大変になったりと労力を要します。
一方で、砂利の種類によっては、私たち造園屋が一度に大量入手することができるため安くなる種類もあります。ご相談いただけましたら、そちらのご案内もいたしますし、施工までの工程を一連の流れで行うことができるため安心です。
防草シート編:種類について
さて、これまでは砂利の種類、敷く厚みについてお話しました。では肝心の、砂利の下に敷く防草シートについてのお話です。
防草シートはこれもまた種類や性能がたくさんありますが、大きく分けると二種類です。
①ホームセンターでよく見る、織布タイプ
安価で広い面積向け。織り込まれているため、引っ張りに強い。しかし、一ヶ所ほつれると周りもほつれてしまうデメリットが。また、織目の隙間から鋭い葉が突き抜けて育ったり、小さな隙間から生えた雑草がそのまま繫殖したりする可能性あり。
②一般的に使用されている、不織布タイプ
織布タイプに比べると高価。値幅は様々。織り込まれていないので、引っ張りに弱い。しかし、織目がないので隙間から雑草が生える心配はなし。防草シート単体で使用できるタイプと、紫外線に弱いため砂利などで覆う必要のあるタイプがある。
この二種類での違いは、上記のとおり、単に繊維が織り込まれているか、いないかの違いが大きいです。それにより大きな価格差が出ています。雑草はとにかく根強く、どこでも育つため、織布タイプだと織目から入り込んだ種がわずかな光を頼りに育ち、光を受けられる大きさになるとどんどん育っていく……なんてことも。不織布に比べると劣化する速度も早いため、値段面では上がりますが、不織布のほうをおすすめしています。
また、②内でも少し触れましたが、紫外線に弱いタイプとそうでないタイプも存在します。紫外線に弱いタイプは、上に砂利を敷くなどします。そうでないタイプは、主に高速道路などの脇道などで使用されているように見受けられます。
防草シート編:耐久性について
基本的に防草シートの耐久年数については、約7~10年というのが平均的のようです。かくいう弊社で取り扱いのある防草シートも、7~10年のものが多くなっています。
「では、10年経ったら交換しないといけないの?」というご質問もいただきますが、必ずしもそうというわけではありません。砂利を敷くなどの対策をすれば、紫外線や大気に晒されての劣化は防ぐことができますし、特に防草シートに対しての大きな被害がなければメンテナンスなどもありません。「今まで何の変化もなかったけれど、急に雑草がまた姿を現してきた」など、突然の変化がもしあれば、その時が交換の合図かもしれません。
コンクリート
さて、続いてはコンクリート打ちでの雑草対策のお話です。
コンクリートは、駐車場でも使用されているような頑丈で耐久性の高いもの。使う個所は駐車場部分にとどまらず、お庭部分で使用される方も多いですよね。しかし、コンクリート打ちを駐車場に行うか、庭部分や家の周りなどに行うかで注意するポイントが変わってきます。
既にご存知かもしれませんが、コンクリートを打つと、本来土へ吸収されるはずの熱が、コンクリートによって跳ね返ります。そのため、家の温度が上がる可能性が高いです。また、コンクリートは白く眩しいため、光が反射して眩しく感じるという方も一定数見受けられます。駐車場など、家から多少離れたところや、窓の少ないところでしたら大丈夫かもしれませんが、広い外につながる掃き出し窓などから見るコンクリート打ちのお庭は、白く眩しく殺風景になってしまうかもしれません。
解決策としては、コンクリートのほかに、タイルや天然石、レンガなどを部分的に使用したり、洗い出しコンクリートという表面に砂利の浮き出た仕上げにして風合いを変えたりなど様々なご提案があります。
そして何より、水はけにも注意する必要があります。全体を埋めてしまうと、雨水の逃げ道がなくなってしまいますから、どこに向かって雨水を流すのかをしっかり決めておかなければなりません。
家の基礎側に水を流すのは、基礎の劣化などにつながるためもってのほかです。
コンクリートは、一度施工すれば管理の手間がかからず、半永久的に持続するため、雑草対策としては非常に有効な手段の一つです。しかし、現在の状況にあった方法を十分に考える必要がありますね。
固まる土
DIYでも広く知られている「固まる土」。セメントを混ぜていますが、土のような質感を損なわないため、見た目はコンクリートより自然な仕上がりになります。
水をかけると固まるという手軽さや、色の豊富さなどから、弊社でも使用したいとのお声もちらほら伺います。しかし、いくらセメントが混ざっているとはいえ土は土ですので、コンクリートほどの強度はありません。
また、コンクリートのように水はけを考慮しながら施工する必要があるため、DIYで広い面積の箇所全体に敷こうとすると、大掛かりな作業になります。そして、セメントが混ざっているため、本来の土のように完全な自然排水をするわけではないところも注意する点です。時間をかけてゆっくりと自然排水していく形になりますので、雨が続くと、水はけを考慮して施工していない場所には水たまりができてしまうといったことも。水気が残りやすいといった点は、コケの発生を促したり、表面に残った土が敷地外に流出してしまったりと、かえって手間になる事象を引き起こす可能性にもつながります。
しかし、作業箇所が広すぎないため景観よく安く済ませたい、落ち葉がたまりやすいため掃除をしたいなどの希望がある場所ならば、有用な手段のひとつであるといえるでしょう。
グランドカバー
続いて、グランドカバー(グラウンドカバー)について。こちらは聞きなじみのない方もみえるかと思います。内容は、まさに読んで字のごとく、地面(グラウンド)を被う(カバーする)植物のことです。
こちらも様々な種類のものが販売・流通していますが、特に植物は、「育てる」という過程が必要になりますので、要・不要はご家庭によって異なります。しかし、緑のものが少しでもあると、不思議とホッとできるものです。造園屋としても、ぜひおすすめさせていただきたいところではあります。
グランドカバーは、植物であり生き物です。そのため、最初に植えすぎると後からぐんぐん育ってしまい、最終的には混み合ってすし詰めの状態になる可能性が十分にあります。他の植物やお花が植わっているなど状況にもよりますが、1㎡(1m×1mスペース)に35株前後を目安にしていくといいと思います。
おすすめのグランドカバーは、クリーピングタイムというハーブの一種。管理が簡単で、ほぼ手を加えなくても元気に伸び広がっていく植物となっています。春には小さな濃い桃色~紫色くらいの花がたくさん咲き、見た目にもとてもかわいらしいです。葉の色は濃い緑で、景観の良さにも一役買ってくれます。伸びすぎたら手でむしり、軽く乾燥させたらポプリなどにも使用できるので、癒しグッズの作成などにもいかがでしょうか?
人工芝
ご紹介の最後は人工芝です。天然の芝はやはりメンテナンスの面で手間がかかってしまいますので、手間いらずで、景観も整えてくれる人工芝が人気を博しています。
人工芝もピンキリで、製品の差といえば、毛足の長さ(芝生の丈の長さ)・本物へどれだけ近いかのリアルさ・抗菌・防炎・静電気防止……など、様々な点を挙げることができます。
施工の際は、防草シートを敷いてから施工するとより強固な雑草対策になります。防草シートを敷かなくても、人工芝の裏地に樹脂コーティングが施されていれば十分に防草効果を得ることができるでしょう。
耐久年数としては、こちらも防草シートと同じく7~10年ほど。製品によっては、裏地の樹脂コーティングのかけ方にばらつきがあります。樹脂コーティングが一回だけ、もしくはしていない、などが当てはまる場合は、芝が抜けやすく、劣化の元にもなる場合があります。長く使うものだからこそ、製品の性質と値段の比較をし、一番合っていると思った商品を選ぶことが大切になってきます。
人工芝の毛足の長さとしては、高くても4~5cmくらいでしょうか。毛足の長いものは、ふわふわの手触りや、芝の密集した感じを求めている人におすすめです。一方で、毛足の長いものをよく使用する(踏む)場所に敷くと、毛足がへたれてしまうのが早く、長い目で見ると景観に差しさわりを感じる場合があるかもしれません。
毛足の短いものは、ゴルフ練習にも最適な丈から、一般的な2~3cmの丈まで様々です。基本装備として、防炎・抗菌を可能としている商品も多いですね。
金額面では、天然の芝と比べるとはるかに高額です。しかし、これから家に住む人生の中で、お庭にかける手間や時間などを考慮すると、しっかりしたものを施工していただくと良いのではないかと思います。
メリット・デメリット早見表
さて、ここまでは「よく出るキーワードTOP5」の開設と紹介をしてきました。最後に、今までのご紹介内容を簡単に振り返ることのできる早見表を作成しましたので、見返す際はぜひご利用くださいね。
砂利
[メリット]防草シートと組み合わせたら効果大!
[デメリット]厚みが必要なので、作業が大変
防草シート(不織布)
[メリット]織り目がないので、シートの隙間から草が生えてこない!
[デメリット]シートの厚さによって価格帯が大きく変わる
コンクリート
[メリット]施工したらその後は手をかけなくてもOK!
[デメリット]熱を反射するので、周辺の温度が上がる
固まる土
[メリット]土の質感があるので仕上がりが自然!
[デメリット]手軽な分、コンクリートより強度が下がる
グランドカバー
[メリット]景観が良くなる!
[デメリット]水やりなど、手をかける必要がある
人工芝
[メリット]メンテナンスフリーで景観を良くできる!
[デメリット]金額がかかる、毛足のへたりが気になる
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか?
外構リフォームは、一生に一度あるかないかの大きな買い物になるかと思います。昨今はいろいろな情報が溢れており、なかなかインターネット上だけでその業者が良いかどうかの判別がつきづらいですよね。ホームページなどで会社の雰囲気などをしっかり確認し、実際に話を聞きに行ってみて、ご自分で体感して決めるのがやはり一番いいのではないかとも思います。
本文がより良い生活の一助となれば幸いです。素敵な外構リフォームになることを願います。